魚は夜目がきかないらしい。(参考:魚は夜目が利くのか―マズメ時や夜間に見えやすい色とは)
魚が見えやすい色は青緑色なのだそうだが、月や星の光は緑や黄色の強度が高いらしい。つまり、晴れた月明りの夜も魚はあまり明るくないと感じている。
逆に言えば、アカザは明るいところで泳いでくれないものの、アカザにとって見えにくい色の光なら泳いでくれるのではないでしょうか。
ではアカザにとって見えにくい色、見えやすい色とは何色なのでしょう。
これまでに部屋を真っ暗にして、赤外線ライトを照らした場合は、水槽を泳ぎ回る姿が動画で撮影できたので、赤外線は見えていないと言えます。しかし、赤色が見えていないかというとそれはわからない。
アカザが泳ぎ回る理由は、おそらくエサを探すためだと思われます。でも真っ暗な夜間にどのようにしてエサを探しているのでしょうか。アカザにはナマズと同様にヒゲがあり、触れたものの味を感じることができると言われていますが、それだけで探すのは困難でしょう。何か参考にしている指標はないのでしょうか。
水生昆虫(カワゲラなどの幼虫)も夜行性で、出てこない。アカザも夜に獲物を探しまわる。このときに手がかりにしているのは光なんだろうか?エサである水生昆虫の生態をもとに考えてみたい。川虫は食性で6種類に分けられるそう。
上記の分類は食性によるものだが、食べているものは流れの強さでも分類できると思う。 例えばグレイザーなら藻が生い茂りやすい石の表面、特に日光と酸素も豊富な水面近くに付着していると思われる。 石の表面は流れを遮るものがないため流速は比較的早いと思われる。一方でシュレッダーのエサである落ち葉は、川岸などの流れが弱いところにたまるので、流れが弱いことがシュレッダーの水生昆虫を探す手がかりになる。
では上記の種類の中でアカザがエサとしているものはどれだろうか。東京都秋川におけるアカザとカジカの食性によると一年を通してカワゲラを食べているようだ。カワゲラは分類でいうと多くは大型のものはプレデターに、小型のものはシュレッダーなどに分類される(参考:6.水生生物の話<深掘り>)。
だとすると小型のアカザは、小型のシュレッダーを捕食するため、比較的流れの遅い状況下で活発になると考えられる。一方で大きく成長したアカザは、プレデターが隠れていそうな石の裏側や隙間に入っていくことこそが、捕食行動であると言える。
以上のことからアカザは「流れはあるが緩やか」という状況にすることで泳ぎに出てきてくれる可能性があることがわかりました。しかし大きな個体になると基本は隠れてしまいそうです。